恋をするなら二度目が上等
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恋をするなら二度目が上等

木下けい子

黒歴史だった初恋が二度目の出逢いで成就

ネタバレ
2023年10月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 上京して14年、出版社に勤める宮田晃啓は、担当することになった大学准教授が高校時代の黒歴史の相手でショックを受けます。養子となって星澤から姓の変わった岩永崇は高校の2年先輩で、名家の美形で秀才かつ孤高の存在という初心な宮田の憧れの初恋の人でした。当時一度だけ口づけを交わした二人は駆け落ちの約束をするのですが、宮田は約束の場所には現れず岩永と顔を合わすことなく転校したのでした。自分が来るかどうかが賭けの対象にされていたことから宮田は幼い自分のバカさ加減を弄ばれたと今だに思い込んでおり、岩永の方もそれを否定せずしれっと誘いをかけてきます。相変わらずイケメンでスマートな岩永に宮田は断固拒否を貫きつつも心の奥底はぐらぐらと揺れるのでした。岩永とは家絡みの長い付き合いの椙本恭介を交えて二度目の出逢いは大人の恋として実ってゆきます。宮田がなぜ駆け落ちの約束の場所に現れなかったのかは3巻でわかるのですが、そこで宮田の拗らせっぷりに納得させられます。岩永のふわふわしたおぼっちゃまぶりと宮田の生活感溢れるリアリストぶりとが好対照を成して最後まで楽しく読めます。良いタイトルが良い作品とは限りませんが、良い作品には必ず良いタイトルがついている好例でした。
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