捨て猫たちのトーチカ
」のレビュー

捨て猫たちのトーチカ

木田さっつ

スピンオフ

ネタバレ
2023年10月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 新刊作者買いです!
ちょうどスピン元の『オレを守ると誓ってよ』を読んだ直後だったので、スピンオフが発売されて速攻買いました。

前作でカナンの元セ フレで、収録中にカナンをレ イプして芸能界から姿を消した碓氷隼人が今作の主人公。今作からでも読めますが、事件については前作を読んだ方が理解が深いと思います。
テレビ局のプロデューサー・佐波×元俳優・碓氷隼人。
街で捨て猫のような状態の隼人を拾い、部屋で飼うことにした佐波。
歪な関係ですが、お互いがお互いを必要とし、再出発するストーリーです。
佐波の、普通のいい人に見えて、隼人を部屋で飼うという異常な行動をしているところにゾクっとしました。この人も、闇を抱えてるんだなと。
実は奥さんに捨てられ離婚した身。
隼人はわかりやすくどん底で、世間の批判を浴びて唯一の味方が佐波になったので、それに縋りたい気持ちはすごくよくわかる。
1歩踏み出したと思っても、世間の目はそこまで甘くないのも事実で。またどん底に落ちて逃げ出して。
でもちゃんとそこに愛があって、一緒にいる理由があって、壊れた心をあたたかく包んでくれるから、もう涙が止まらなくて。
タイトルも秀逸だなぁと思いました。トーチカって、攻撃から兵士が身を隠し、撃たれないように銃先だけ出して人を撃っていく拠点のこと。
捨て猫の2人が、中でまた世間に出ていくために身を隠してタイミングを見計らっているんだなと連想できて面白かったです。
過去に犯した犯罪は消えることはないけど、罪を犯した人もまた普通に生活する権利はあると思います。2人で荒波の中でもしっかり生きてほしいです。
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