昭和元禄落語心中
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昭和元禄落語心中

雲田はるこ

しっとり人情噺☆

ネタバレ
2013年10月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ BLの名作『新宿ラッキーホール』を読んだときも感じましたが、雲田センセは稀有なストーリーテーラーですね!! ムショ帰りの与太郎が押し掛け弟子入りした、名人落語家、八雲。。。1巻で落語の奥深さ、魅力をキャラ説明で描き、2巻から八雲師匠の若き日、兄弟同然に育った盟友☆助六との友情を描いています。 同業で同門だからこそのライバル意識、芸への葛藤、愛憎と呼ぶより『しがらみ』と言ったほうが合うような、強い絆と、人情を、江戸情緒たっぷりな咄家言葉でドラマティックに展開するストーリーは、上品(じょうぼん)な小説を読むような印象があります☆ そして、せつない。生きるコトの本質は孤独だけれど、孤独ゆえに、人は他者との関わりの中に自分の存在意義を求めるのではナイでしょうか?
孤独を見つめ、愛しながら芸を磨く八雲(菊比古)と、孤独から逃れ、愛に依存して芸を捨てる助六(初太郎)。 正反対な男2人が互いを認め、落語という同じ世界で必要とする様は、愛情でも友情でもなく、まさに『人情』です☆ まだ4巻でオチは未読ですが、最初から助六が他界している設定。。。せつない名作となるコト、確実です。
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