朝と昼と夜とそれから【コミックス版】
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朝と昼と夜とそれから【コミックス版】

夏井数

あたたかくて切ない作風が好き

ネタバレ
2023年10月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 面白かった。事故の後遺症で不規則に20歳以降の記憶を失ってしまう西田。朝目が覚めると30歳の自分と片思い相手の河原が同じベッドにいて…というお話。空白の時間については自分が書き溜めている日記ノート頼りなんだけど、過去の西田が未来の自分にわかりやすいように漫画で経緯を説明していたり内容がシュールで楽しい。それだけじゃなくて、落ち込んでる時やメンタル病んでる時の自分のコメントも全部残ってて、今の元気な西田以外の記録があるのも人間味があって好き。記憶はなくても服の趣味は変わってないし河原と違いすぎて一目瞭然なのも面白かった。大好きな河原との同棲生活で、西田の心境は片思い時代のままで浮かれてたり新鮮に好き…ってキュンとしている姿が可愛い。一方河原はこれを何度繰り返しているのかと考えると切ない。過去の西田が死を望むほど苦しんでいたことをメモから知ってしまって河原の感情が決壊するシーンに泣いちゃう。丁寧に重ねても、適当に重ねてもぜんぶ水の泡だってセリフが印象的。付き合い出してからいろいろあって、河原が辛く当たっちゃったこともあって、でもそれを乗り越えてここまで二人は来てるけど、それを覚えているのは河原だけなのやっぱり辛くてこれからも過酷だなって思っちゃう。
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