英雄殺しの軍人は愛し方がわからない
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英雄殺しの軍人は愛し方がわからない

蒼磨奏/笹原亜美

それは紛うことなきソーニャです。

ネタバレ
2023年10月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 334ページ挿し絵あり。スラム出身の天涯孤独ヒーローは飢えから逃れるため、ひょんな事から王に仕えることに。時は経ち将軍まで登り詰めたヒーローは油断し敵国に捕えられる。敵国の英雄殺しの肩書きのため痛めつけられる日々だったが、そんな折地下牢に世話人として幸薄なボロの女がやってきて…という話。いやー最近のソーニャさんはヌルいのが多くて残念だったですが、今作は気持ちいいくらい歪んで狂ってました。凄く良かった。ヒーローは飢えた幼少時代を過ごしたせいか喜怒哀楽に乏しく、3大欲求に忠実です。一方のヒロインは不幸のどん底から救ってくれたヒーローを英雄視していて無償を愛を捧げます。ヒロインから愛とは何なのかを教わるヒーローの心の機微が丁寧に描かれていて大変読み応えがありました。残酷な描写も終始あります。それを疎まないヒロイン(やめてそこまでしないで!っていう子じゃなくて良かった)はやはり育った環境で狂ってしまったんでしょうね(だがそれがいい)。ベルダンとアーヴェル王の最後は伏線回収的にもゾクゾクしました。最高の復讐だと思います。挿絵は少なく感じましたが綺麗でイメージ通りでした。ただ一つ、気になる点が。ストロベリーブロンドはピンクがかった金髪であって、真紅では無いです。その描写が登場する度モヤモヤしました。
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