このレビューはネタバレを含みます▼
この作者さんの作品は他作品もいくつか拝読してますが、作風なのか、あっさりとした淡々とした印象(決して悪い意味ではなく)を受けます。深く入り込みすぎない、一線引いたところから傍観しているような感覚を覚えます。それでも、心に沁みる深みがあって、心に残ります。読後感も涼やかで素晴らしいです。
環と周がどの生まれ変わりでも激しく求めて愛し合うわけではなく、近しい立場の人間として生まれ、一時を共にする、でも過ごした時はとても大切な時間で、特別な。それがとても切なく感じました。個人的には70年代のお話が哀しくて泣けました。寂しい終わり方でしたが、きっと最後の数ヶ月はお互いにとって煌めくような、しあわせな時間だったのではないかと思います。
現代ではようやっと、結ばれていましたね。でも、そこは江戸時代の頃とは違い穏やかで、激しさもない凪のような関係性でした、そこもまた切ないような、ファンタジーなのにリアリティを感じる締め方で、印象的でした。