このレビューはネタバレを含みます▼
ヒーローは幼い頃に飢える苦しみを経験し、それ以後、食べることに困らないことを第一優先として生きてきただけあって、食べることへの執着が凄いです。そんなヒーローが自分のものを分け与えても良いと思うほどに心を許したヒロイン。ヒロインは敵国に捕らえられていた間の世話係で、ヒーローを励まし続け、脱獄するのに協力し、その後は死を覚悟していました。自分のことよりヒーローを優先し、ずっと支えてくれたヒロインと別れることが出来なくなったヒーローは自分の元に置くと言って連れていきます。ヒロインは何故ヒーローを助けたのか、一体何者なのか、なぞは深まるばかりでした。そして他人に心を許すことなく生きてきたヒーローの心の変化も見どころで、どんどんヒロインに溺れていきます。表向きは、教えられた通りの礼儀正しい大人の男性ですが、内面は食べることだけに執着を持ち、その他の感情には興味がなく、危なっかしいヒーロー。そのヒーローがヒロインを大事に思ったり、恋人らしいとはどういうことか悩んだりと、感情が豊かになって人間らしくなっていく様子にホッとしました。お互いにやっと幸せを掴んだ二人でしたが、ヒロインが連れ去られ、そこでヒロインの謎が全て明らかになります。ヒーローの半生も過酷でしたが、ヒロインの半生もまた壮絶で、ヒーローへの態度にも納得でした。ヒーローもヒロインも幸せになって本当に良かったです。