このレビューはネタバレを含みます▼
●2〜30Pくらいの短編7本。あらすじに「全6話」とありますが、『room』が抜けてますね。目次をご参照。あとがきに「2010年10月」とありました。ずいぶん前!あとがきの後ろに表題作のおまけが2P。
●作者さんの長編を何作か拝読していて、この度こちらを購入してみましたが、読ませる作風なのでやっぱり長編の方が満足感あります。でもどのお話も優しい。それは作者さんの味だなぁと思います。以下少しずつレビュー。
●表題作。絵柄的にはこちらが一番新しいのかな…?立読み部分がお好きならそのままの雰囲気で読めます。ぐいぐい押してる早川がずっと強引なままではなく、伊織もうやむやに流されてるだけではないのが良い。あと裕太がかわいかった!
●『room』お互いへの気持ちを隠してきたルームシェア。萩原は海外に長期で逃げ、帰ってきたら口喧嘩ばかり。秋月の萩原への想いが各種小道具でバレていく過程が好き。
●『君が笑顔で〜』従兄弟のみちるを家に住まわせることになった静真。みちるは“彼氏”のことでウキウキしてて、静真は想いに蓋をする。“彼氏”も悪い奴じゃないんだけど、弱い奴だった(こういうとこ作者さんらしい)。静真の「ゲイかどうかじゃなくて好きかどうかだろう!」という啖呵がカッコ良い。
●『とかす〜』時津が大切にしてた眼鏡を壊してしまった浦上。その眼鏡は亡くした恋人のもので…囚われてる時津が、浦上の温かさでほどける。
●『僕は〜』急に西園への気持ちを自覚した大村。隠してるつもりらしいがダダ漏れ(笑)「相手が自分を好きなこと」よりも「自分の心がその相手に対してどう動くか」という視点に、なるほどな〜と。西園が元彼女持ちだったので、えっちはさすがに性急に感じた。
●『フレンド』大学学生寮。人を遠ざけてる秀太と同室の先輩京一。秀太と“親友”との間に起こったことが切ないなぁ…。京一が救い出してくれて良かったな。
●『先生の〜』高二なのにスパダリ感漂う矢上…いや、実際そう。生徒相手と尻込みしちゃう式見に対して、ちゃんと弁えた行動を取る矢上。だけど式見の“過去の男?”を目撃して取り乱す様子は高校生だなぁ…と。作中でえっちありますが、これは“確かめる”ためで、多分次は卒業後なんだろうな。