神さまは陽だまりに眠る
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神さまは陽だまりに眠る

篠崎マイ

神様に育てられた青年の真っ直ぐな恋

ネタバレ
2023年11月4日
このレビューはネタバレを含みます▼ 土地神様の小さなお社の前に赤ん坊が捨てられます。カムナギ様はちょっと迷って、その子を神域に連れて帰り3歳になるまで面倒をみることにします。陽向と名付けられたその子はすくすくと育ち、3歳になると麓の家までカムナギに連れて行かれるのですが、陽向はカムナギを追って帰って来てしまいます。ひたすらにカムナギを慕う陽向に、カムナギは20歳までに期間延長するのでした。19歳になった陽向は、カムナギの治める土地の人口が減り、信仰心が薄れてきたことでカムナギが消えてしまうかもしれないと知ります。幼い時から美しいカムナギにずっと憧れてきた陽向はショックを受け何とかしたいと思いますが、お前を側に置くことで余計な力を使ってしまうとカムナギに言われてしまいます。自分から離れて人として真っ当な道を歩いて欲しいと願うカムナギの言葉に、陽向は泣く泣く山を降りるのでした。カムナギの存在が危うくなる中、たった一人の神様を一途に慕う陽向の想いと行動がカムナギの存在を繋ぎ止めます。清らかな神域で神様と御使いとに育てられれば、純粋無垢な良い青年が育つのだろうなと妙に納得しました。存在が危うくなったから、神様にも情が生まれたのかもしれません。やはりカムナギに拾われて御使いになった狸のフク、化け狐の朱音、お隣の土地神様の西郷らが二人を見守ります。
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