孤独なオメガが愛を知るまで【SS付】【イラスト付】
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孤独なオメガが愛を知るまで【SS付】【イラスト付】

義月粧子/小山田あみ

小山田あみ先生の表紙とイラストが至福

ネタバレ
2023年11月7日
このレビューはネタバレを含みます▼ 毎日のようにXで小山田あみ先生の此の小説の美麗なイラストを拝見していて、新刊も10%引きに釣られて購入してしまいました。作者名の確認を怠った自分がいけないのですが、今迄に読んだ『運命のつがい~』も『彼と彼氏の~』も『陥落の~』も『甘い絶望の~』も楽しめないどころか支払ったお金と費やした時間を悔やむものでした。
内容を掻い摘んでみると、主人公のアイルを養父母と男爵で悲惨な目に遭わせた後、絶望の淵でやっと救出させて、まるでジェットコースターに乗っているかのように不幸と幸福を交互に味わせています。そして、男爵を醜悪な男にしておまけに青髭のように何人もの妻を凄惨な目に合わせているというのを読む読者の身にもなって欲しいものです。実際に悪人がいるのは承知していても、物語の中にそこまで徹底して書く意味はあるのでしょうか。
アイルの夢魔にはリシャールに似た男性が何度も現れます。まだ、アイルがリシャールの存在すら知らないうちから見せて、番の絆を印象付ける意図が見えて不自然な思いで読みました。また、アイルは落馬までさせられて、可哀想すぎます。一度骨が折れると何か月も治るまで苦労しなければいけないのに、リシャールはアイルを労わるどころか早速手を出しています。リシャールの人物設定も一貫していなくて、首をかしげるような処が多いのです。養父母の家に帰されたアイルを直ぐにも迎えに行くと思われるのに、何故男爵の屋敷に何日も閉じ込められているのを放っておくのか不思議でなりません。幽霊や悪夢を見続けるアイルが哀れです。
ハッピーエンドに向かって話を作り上げた感があって、白けてしまって少しも感情移入することができません。担当者がゴーサインを出した訳を知りたいものです。
小山田あみ先生の表紙とイラストが必死で話を盛り上げようとしてくださっているけれども、無理でした。
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