このレビューはネタバレを含みます▼
海の見える喫茶店を父から継いだ夏樹。店周辺では再開発の話が持ち上がっていて、担当の阿久津が毎日のように店を訪れ、夏樹と小さな小競り合いを繰り返している。
タイトルにもあるとおり、夏樹は恋心を自覚したことがなく、自分の性的指向を確かめるために入店しようとしたゲイバーの前で偶然阿久津に出会い、流れでホテルへ。
対立する立場である阿久津との関係に戸惑いつつも少しずつ阿久津に気持ちが傾くなか、阿久津のスマホに表示されたメッセージに傷付き、自分の恋心と失恋の痛みを実感する。
阿久津が夏樹を気にかける理由が過去の出会いにあったことが分かると阿久津の想いが伝わってきて、再会できて良かったねと言いたい。
夏樹は阿久津との出会いを覚えていないようで残念な気分だったけれど、その訳が小冊子で明かされ、きっと阿久津も夏樹もお互いが初恋だったのだなと思う。夏樹が恋を知らなかったのは心の深いところに阿久津がいたからで、あの再開発話も無駄ではなかった。