木曜日売ります
」のレビュー

木曜日売ります

松田とらいち

書き下ろしにホッとする

ネタバレ
2023年11月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 同性しか好きになれない自分に恋愛は無理、と諦めていた優人にできた初めての恋人は妻帯者で、会えるのは木曜日のみ。別れたあとは一人で過ごす木曜日が淋しくて、バーのメッセージボードに《木曜日売ります》と貼り出す。

メモを見た愛司からの連絡で二人は会うことになり、それから木曜日は一緒に過ごすようになっていく。


恋愛で傷付いた優人と優しく包容力のある愛司が結ばれていくストーリーは数多あるBLの王道展開で安心して読める半面、少し物足りなさも残る。

愛司に想いを寄せる女性が現れて縁談を勧められたり、愛司の過去を他人から聞かされて優人が傷付いたり、元カレから復縁を迫られたりと王道展開を突き進むなか、優人が元カレと木曜日に会っていたというところに元カレの狡猾な作為を感じてムカムカとなる。

週末でも休日でもなく、木曜を選ぶのは家族を騙すのに都合が良かったのだろう。それなのに、復縁を迫ったり、子どもの前でも優人に何か言おうとしたりして本当に最悪。

愛司が優人を心から愛し、ずっと大事にしてくれそうなラストにホッとした。
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