憂鬱な朝
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憂鬱な朝

日高ショーコ

好きすぎる作品

ネタバレ
2023年11月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 大好きな作品です。明治時代の華族の話。幼少期に住んでいた鎌倉から本宅に戻った幼い暁人にとって唯一フラットに接してくれたのが一回り年上の家令の桂木。暁人にとって桂木は指針となる人であり怖い人でもあった。桂木に認められたいそう思って頑張ってきた暁人はいつからか桂木に恋心を抱くようになる。暁人から強引に身体の関係を迫り、二人の関係は変わっていく。最初は拒む桂木、しかし次第に桂木は暁人に対する気持ちの変化に気づく。しかしながら様々な要因でこのままではいけないと思う気持ちがあり、全面的に受け入れられない。しかし最後は全てを受け入れる。暁人の執拗なまでの愛と桂木の葛藤は見ていて何度も何度も胸が締め付けられました。この物語はBLだけじゃない。桂木の出生に関すること、華族の序列の問題、跡継ぎについて、また商売の話。それらに関してあらゆる駆け引きや暗躍があり、続きが気になり読まずにはいられなくなります。この物語の好きなところは何といっても桂木が暁人をほんの少しずつ受け入れていくその過程です。二人は身体の関係を何度も重ねても中々心までは深く互いに踏み込まないし踏み込めない。その関係性はあらゆる外部の状況も影響しあいながら変化し、最後は二人とも覚悟を決める。二人の間の壁、愛しあっているのは確かなのに取り払われない、中々どうも上手くいかない、このじりじりとした感じが最高によかったです。
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