このレビューはネタバレを含みます▼
『17』というたった数字二文字のタイトルに、数えきれない程のイメージや意味を含んでいて読み応えありそうとは思ってはいて…でも想像以上に強烈でした。各巻の副題のような(こちらも常に二文字)言葉にも重みを感じました。17歳という若さ故の暴走、後悔、反省…何もかもじゃなくても、程々に恵まれているDKに「ままならない想い」を飼い慣らすのは難儀だろうなと、少し可哀想に思ってしまいました。
本筋の二人の恋の行方も気になりましたが、私としては脇道の先生の親友の津田の話も捨て置けませんでした。一世一代の告白にまさかの答え…驚きました。「え?知ってたの?知ってて10年も親友の顔してたわけ?」って、タチの悪さを感じました。色々なタイプの当て馬を見てきましたけど、こういうのは初めてです。先生としては当て馬のつもりはないのかもしれないけど、私は当て馬の一種と思うし、優しさの仮面を被ったこの手の人が苦手です。
3巻の副題は「初恋」ですが、よく考えてみると二人とも「それっぽいことは経験済み」なんですよね。三島は特に10年ものですし、有岡もモテてきてますし。それでも敢えて「初恋」ということは、二人にとっては「真の」ということなのかな…と理解しました。
初恋のイメージにあるような甘酸っぱさよりは、切ない苦味が勝るような大人感覚のお話でした。