アドリアン・イングリッシュ
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アドリアン・イングリッシュ

ジョシュ・ラニヨン/冬斗亜紀/草間さかえ

5巻完結のM/M(海外BL)ミステリー

ネタバレ
2023年11月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ アメリカのゲイミステリで、日本のBLとは違いラブよりもライフが主眼となっています。LAの本屋兼ゲイミステリ作家のアドリアン•イングリッシュを主人公とする5巻完結のシリーズ。『天使の影』黒髪碧眼の美しいゲイ•アドリアンの本屋の店員が死体で発見されます。アドリアンの同級生だったロバートは滅多刺しにされていてアドリアンが容疑者となります。寡黙な金髪マッチョのジェイク•リオーダンが捜査にやって来、さらにアドリアンの身近でゲイの殺人事件が起こります。『死者の囁き』アドリアンはジェイクと付き合い始めますが、ジェイクはゲイである自分が認められず周囲にひた隠しにしています。そしてアドリアンが祖母から相続した田舎の牧場と旧鉱山で殺人事件が起こります。『悪魔の正餐』アドリアンの店で働く学生アンガスにオカルトな嫌がらせが続き、アンガスを避難させると今度はアドリアンが標的となり殺人も起こります。ジェイクに女性の恋人がいて、彼女が妊娠したことからジェイクは結婚すると告げ、UCLAの教授ガイ•スノーデンが登場します。『海賊王の死』アドリアンの著作の映画化が決まり、そのパーティ会場で殺人が起きます。毒殺には心臓病の薬が使われ、心臓に持病のあるアドリアンに嫌疑がかかります。アドリアンはガイと付き合っていますが、別れて2年経つジェイクが捜査に現れます。ジェイクとアドリアンが付き合っていた時、ジェイクに他の男性とも関係があったことがわかり、アドリアンはショックを受けます。その男性とジェイク、アドリアンの3人で息詰まるクライマックスを迎えます。『瞑き流れ』アドリアンの書店兼自宅から50年前の白骨死体が見つかります。アドリアンが初めて付き合ったメル•デイビスが現れて新旧彼氏3人が勢揃いします。訳者の技量が高く、米西海岸ならではの街や郊外の風景、料理など生活の細やかな描写からチャンドラーらのレトリックまで楽しめました。余りにも呆気なく終わった二人は、単行本『So This is Christmas』掲載の短編『Christmas in London』『So This is Christmas』でその後を読めます。
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