金緑の神子と神殺しの王
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金緑の神子と神殺しの王

六青みつみ/カゼキショウ

アホの子は誰だ??

ネタバレ
2023年11月16日
このレビューはネタバレを含みます▼ 春夏視点の黒曜シリーズ!
秋人編を読んでる時は春夏にイラっとしてましたが、視点が変わると変わるもんですねー。
秋人編よりも色々と考えさせられました。
秋人は自身の存在の軽さに苦しんでいたけど、春夏は自身の存在に価値が見出せ無いまま大きくなってんですよね。
軽さに苦しむ秋人は、自身の存在の重さの自覚がある。それは、自尊心とか自己肯定感とかって言葉で表されるものなんだと思います。そしてそういうものがきちんと育ってるのは、幼い頃のお母さんとの生活で育まれたものなんですよね。
対して春夏は大多数の人が当たり前に享受している愛情というものを多くは受け取れずに生きてきたわけで…。
生まれてこの方ずっと己の存在の軽さに慣れ親しんでたのでしょう。
凧みたいにふわふわとこの世と自分を繋ぐ糸が細いものでしかなくて、生きる基盤みたいなものが作られて無いんですよね。
だから、生きることへの執着が薄くて希死念慮が強い。生きる意味とか、理由とか、存在意義が持てずに生きてる。
何かを望めば、叶わない事に苦しむ事をよく分かっている。
煩悩を捨てれば生きることが楽になるって事を、悲しきかなよく知ってる子ですよね。
子供っぽいのに、酷く老成してるアンバランスな子ですよね。

そんな春夏のことを理解してるルシアスですが。。
読後の感想は、アホの子はルシアスなんでは??の一択です
アラサーのルシアスが思春期の高校生に対してなんでそんな大人気ないんだ??
そして最後まで読んでも、ルシアスの春夏への執着が納得できなかった。
一目惚れね。うん。まぁ、一目惚れだよね。
中身も好きだって言ってたけど、なんか取ってつけた感が否めませんでした。

最後の締め方はとても良かったです
どうか国民の識字率が上がりますように。。
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