善き王子のための裏切りのフーガ【イラストあり・電子限定ショートストーリーつき】
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善き王子のための裏切りのフーガ【イラストあり・電子限定ショートストーリーつき】

片岡/みずかねりょう

みずかねりょう先生の表紙は芸術作品

ネタバレ
2023年11月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 試し読みとレヴューに釣られて読んでみました。一度目はどうしても先が気になるので読み飛ばして最後まで読みました。途中気分が悪くなりながらも読み終えました。
今二度目を読み始めていますが、シセとルカが話す言葉で、其々自分を表す一人称に「俺」を使っているのが気になりました。シセは「私」で話す人物でしょう。また、ルカも従僕として働いているのですから「私」を使う必要があります。其れが気になりだすと、もう、先を読み進めることができなくなりました。
シセとルカの容貌と人物像がかけ離れてしまって、主人公に興味を失ってしまったら此の小説がすっかり色褪せてしまいました。
ルカは同士を裏切ったかもしれませんが、シセにしてみればルカに裏切られたのです。終わり良ければ総て良しではないでしょう。「第五王子の愛と哀しみ」と題を替えてもいいぐらいです。牢獄で失意の内に過ごしたシセの悲しみがルカの救出で癒えるとは思えないのです。ルカの考えの甘さが招いた結果で、死を免れたからそれで良しとはならないのです。一度心の内に芽生えてしまった相手に対する失望と絶望は並大抵のことで取り消してしまえるものではありません。人の心の機微についての配慮に欠けてしまうと色々と納得のいかない物語になってしまいます。残念でなりません。
表紙絵のルカはシセに背を向けて顔を見せていないことに気が付きました。つまり、ルカはシセに顔向けできないことをしているということを暗示しているのです。此れを幸せな結末に持って往くのは無理があり過ぎます。
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