はるのみず
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はるのみず

fu

表紙のイメージそのままの透明感

ネタバレ
2023年11月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ 青海秋哉は一面の銀世界の中で眠る青年を見つけ、慌てて起こして自宅に連れ帰ります。暖まった青年は、雪が止むまでと言って青海の絵を描き始めます。捨て猫みたいな青年とぽつりぽつりと話すうちに、青海は猫を拾ってきた友達のことを思い出すのですが、どうしてもその名前が思い出せません。思い出そうとするうちに眠り込んでしまった青海が目覚めると誰もおらず、青年のことは夢かと思いますが、テーブルの上に青海の絵と短いメッセージが残されていたのでした。出逢った場所で青海は青年•晴乃ゆきと再会し、ゆきを自宅に泊めるようになります。そして青海の記憶の欠落と、その鍵を握る友人の存在が読者に明かされます。謎めいたゆきと青海の失った記憶との関わりが次第にわかり、それとともに二人の心が惹かれあってゆきます。凍りついた記憶が優しく溶け出す、まさに春先の雪解け水のようなお話は、エロ無し故の透明感かと思います。喪失で繋がる二人恋は、なかなかに切ないハッピーエンドでした。
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