キタン-妖との歪な交わり-
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キタン-妖との歪な交わり-

つくも号

妖の美しさと魅せられる哀れなニンゲン

2023年12月8日
古くから男を魅了する妖の話は作られてきた。
語り継がれてきた、と言っても嘘ではないだろう。
妖に限らず、古くは有名どころで言えば織田信長。
男に魅せられる男の話は事欠かない。
これは私の邪推だが、ニンゲン達の陰間茶屋に代表されるような近現代ではタブー化されがちであった交わりを妖という伝説を織り交ぜることでニンゲン達の決してオモテで語られることの無い話は書物や口伝で受け継がれてきたのだろう。
そしてこの令和の時代。
腐女子という言葉が世間一般に通じるようになってきて久しい。
古くは薔薇族、という言葉もあったが既に死語となっていると私は思う。
少しずつ、日の目を浴びてきつつある男色の歴史。
完全にオモテに出てくることは不可能である。
しかし、歴史に埋もれさせてしまうには惜しい。
この作品は男色文化を理解する入り口として良本であると感じる。
無論、作品としての面白さ、絵の美しさ、妖の妖艶さ、欲に溺れるニンゲンの愛おしさ。
どれをとっても読者を満足させる。
新巻が待ち遠しい。
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