狐火の夜
」のレビュー

狐火の夜

水原とほる/タカツキノボル

狐火の正体とは

ネタバレ
2023年12月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作者様はオカルト系も描かれるので今作もそうかな?と思いましたが全く違いました。
主人公は都会に身を置きながらもどこか馴染めない純朴な大学生の皐と朴訥なインテリヤクザの木津根。2人の興味の対象が少し浮世離れしているせいか、分かり合えた嬉しさと語り合える喜びで急速に近づいていく様子は無理がなくとても自然です。だからこそ現実を目の当たりにした時に苦悩する姿が痛々しく、一度離れた2人がその後どう交差するのか、もしやメリバか?と覚悟しつつ気付けば一気読みしていました。
タイトルにある「狐火」とは闇夜に現れる幻想的で怪しい火のこと。お互いをそれに例えた表現が印象的で、だからこそ狐火に魅せられた者はどう足掻いても囚われてしまうのかも。ラストは2人の境遇の違いや木暮の事も気になって、好きなお話ですがどこか切なさが残る読後感でした。
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