おまえは私の妻になれ【単行本版（シーモア限定描き下ろし付）】
小木カンヌ
このレビューはネタバレを含みます▼
児童文学作家を目指す羽鳥高良が叔父の遺した借金取りに追われて近くの公園に逃げ込みます｡そこは中学生の頃､3ヶ月間行方不明になっていた高良が発見された場所でした｡その期間の記憶の無い高良はそこに近寄らないようにしていたのですが､やむを得ず踏み込んだ次の瞬間､眩しい光に包まれて異世界へと移動します｡そこには褐色の美しい青年がいて､高良の名を呼び10年間待っていたと喜びを露わにします｡高良は10年前､ムール王国の王子アダンベルトと結婚の約束をしていたと聞かされます｡さらに特別な力を持つ大魔法使いがいなければ元の世界には帰れないのでした｡再会の喜びからすぐにも高良を抱こうとしたアダンでしたが心根が優しく､急かすことなく高良の記憶が戻るように思い出の場所や美しい光景を見せてくれます｡アダンへの信頼と安心感が増してゆく中､アダンの許嫁だった王女や元の世界から来た人間らが現れ､物語が進行してゆきます｡背景も衣装も美しく､主役カプはどこまでも甘くファンタジックなのですが､突然現れていつの間にか消えている大魔法使いが謎なのと浴室にある電話に驚かされました｡この世界観と電話というのが自分にはかなり不思議でしたが面白かったです｡
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