つらつらわらじ
」のレビュー

つらつらわらじ

オノ・ナツメ

こういうマンガが読みたかったんだ!

ネタバレ
2023年12月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ と心から思った。おそらく2023年に読んだ中で一番気に入った本になるだろう(今日は12/15)。なぜ今までオノ・ナツメを知らなかったのだろうか。
間違いなくすごく良い作品なのだが、あまり江戸時代に興味がない方にはとっつきにくいかもしれない。時代劇とか落語の世界が描く「江戸時代」とは一線を画する、史料・資料に根差した内容になっている。お殿様の名前(呼び方)なんか「マンガでそこまでこだわる?」と思うほどややこしい。多分、熊田家のモデルは池田家だろうと思うし、御公儀御庭番の家筋に、漢字は違うがクラチ・コサカ・カワムラは実在する。デフォルメの強いかわいい絵(でも上手い)とは裏腹に身の詰まった味わいの深さ。江戸時代好きにこそ読んで欲しい。
登場人物は多いし、道中それぞれの物語が進んでゆくのだが、個人的にはこの物語の主役は(殿は別格として)三郎左だと思っている。「私も 富士の山を見て過ごしとうございます」は本当に泣けた。彼は今でも、おそらく一生、恋し続けるのだ。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!