薔薇色じゃない
」のレビュー

薔薇色じゃない

凪良ゆう/奈良千春

世間の色々なカプに当てはまる話だと思う

ネタバレ
2023年12月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ これは…相手の性別関係なく、結婚や同棲・同居をしたことのある人なら大部分の人が多かれ少なかれ経験しているのではないかと思います。そして水野と阿久津、どちらかの気持ちに寄り添って感情移入してしまうのではないでしょうか。そんなありふれた日常会話や感情に振り回されてすれ違ってと、山あり谷あり最後まで二人がどうなるのかハラハラしながら読みました。
味噌汁の話は、読みながら唸るほどよく分かる話でした。味噌汁以外にも様々なパターンがあるから理解できる人が多い気がします。私は完全に水野サイドで全面的に肩入れしていたので、相手(阿久津サイド)の理屈に一応の理解は示せても、混ざり合うことのない水と油のごとく納得はできませんでした。
阿久津もだけど、亭主関白タイプの人って基本「相手がやって当たり前」と思っているから感謝の気持ちがないと思うんです。だから当然労う気持ちもない。挙げ句の果てに謎の上から目線で「手伝う」「助ける」とか言うんですよね。痛いほど水野の気持ちが分かって、いちいちブツブツぐちぐち、時々ボヤきながら読んでいました。
こんな…言ってみれば日常的な何でもない、ちょっとした(何なら相手を思いやっているつもりで言った)言葉ひとつで、突然切れた糸のように長かった関係が途切れてしまうなんて、二人とも思いもしなかったでしょう。特に水野の心理描写の掘り下げには半端なく感情移入してしまい、二人を通して自分の心を見ているような気がしました。世間の様々なカプに当てはまるだろうし、他人事とも思えず、色々と考えさせられる奥深い作品でした。
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