このレビューはネタバレを含みます▼
3年付き合って番の約束までした恋人に運命の番が現れ、あっさりと捨てられた男が、その元彼の双子の弟に偶然出会い恋人のフリをするうちに再びα相手に恋をするオメガバースのお話。
オメガバースを読んでいていつも心に引っかかっていた疑問がまさにこのお話に具現化されていました。運命の番と出会った時に恋人がいる可能性を、このようなショッキングな形で描いたことはとても現実的な展開だと思います。だから、最初の旭のα嫌いの対応にも納得でした。
煌臣と旭の出会いは偶然でも、その後の煌臣の上書きデートで彼の気持ちがじわじわと伝わってきました。ようやく上手くいきかけたところで元彼CPに出会い、また運命に振り回される旭が可哀想でしたが、煌臣の愛の深さには感動です。
2巻では逆に旭に運命の番との出会いが訪れますが、それでも全く動じない旭の気持ちが清々しく、自分の幸せは自分の手で掴み取る二人の強さが光ったと思います。
読んでいてとにかく素晴らしいと思ったのが、ドクターのセリフでした。オメガバースをきちんと理解した上で、本能に振り回されることなく生きていく術を分かりやすく丁寧に説明してくれていたし、いつも寄り添ってくれた言葉を投げかけてくれていたのが印象的でした。
元彼CPの展開にも衝撃でしたが、突然無理に運命だと言われても上手くいかないこともあるんだと妙に納得させられました。あらゆる展開が現実に沿った可能性を描いていて、作者様の目の付け所に感服しました。
二人に関して言えば、旭はとにかく可愛くて一途な人だし、煌臣が最初とはうってかわって過保護なのがとても良かったです。