このレビューはネタバレを含みます▼
同い年の阿久津慧一と水野光流の20歳の出逢いから15年間の紆余曲折の物語。大学2年の阿久津と水野はゲイクラブのイベントで出逢って意気投合します。全てに気の合う二人は早速付き合い始め、大手食品会社に内定した阿久津とフードスタイリストを目指してバイトする水野は同棲しお互いを支え合います。卒業から2年後、水野は念願のフードスタイリストのアシスタントになりますが、不規則でハードな生活に少しずつ二人の歯車が狂い始めます。そして阿久津の25歳の誕生日に些細な諍いから阿久津は家を出て行ってしまいます。いつものようにしばらくして仲直りのアイスを買って来ることも無く、3日後に帰宅した阿久津は水野に別れを告げるのでした。突然の別れにボロボロになった水野は一時期大切な味覚さえ失ってしまいます。それでもなんとか立ち直って2年後、二人は仕事を通じて再会しますが、阿久津が1年前に結婚したことを聞き水野は涙も出ない苦しみを味わうのでした。二人は友達に戻り、田舎の母子家庭で大切に育てられた阿久津は母親のために結婚して失敗し、水野はカメラマンの彼氏に浮気されます。出逢いから14年後、34歳の阿久津が、アイスを買って帰らなかった25歳の阿久津に動かされるクライマックスが素晴らしく、長いモダモダが一気に昇華されます。二人の仲直りのルール•マカダミアンナッツのアイスクリームのように、9年間凍りついていた二人の関係が最後に優しく甘く溶け出します。