イズァローン伝説
」のレビュー

イズァローン伝説

竹宮惠子

見えざるものへの畏怖と愛

ネタバレ
2023年12月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 古い作品で、母の持ち物であった古いコミックスを10代の頃に読んでいました
それから20年以上経った2023年の終わりに、シーモアさんで続きを見つけ、完結しているということで読んでみました
現在、古い価値観や構築されてきた社会システムが崩壊してきて、物質依存の世の中から精神世界へ眼差しを向ける人たちが増えてきています
少女時代にはあまり意味が分からず異世界ダークファンタジーのイメージで読んでいましたが、いま読み終えて、ヒトの生きること、どう生きるかを何に委ねるのか
見えざるものへの怖れと、それをただ退けるのではなく、見据えながら苦しみながら抗い続けること、それらを愛すること
魔が身近にあった世界の人々が魔を恐れ嫌う中、魔を恐れ排除し忌み嫌うヒトの心が、魔からヒトを救おうとする存在を無力にしてしまうこと
愚かかもしれないが愛に欲に畏れに翻弄される、人々の営みや懊悩、後悔と希望が描かれています
ヒトも、魔物も、全ての登場キャラクターがそれぞれ魅力的に描かれているのも、あらゆる存在に対する竹宮先生の眼差しのあたたかさ故なのかもしれません
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