穢れのない人【コミックス版】
」のレビュー

穢れのない人【コミックス版】

虫飼夏子

心に余裕がある時に読んだ方がいいかも

ネタバレ
2023年12月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 肯定的感想ではないので注意です。
しんどかった。重いテーマだとわかってたけど何か救いがあるのではと勝手に期待してしまった。皆言っているけど人を選ぶ作品だと思います。
環境によって誰もが加害者になる可能性を秘めていること、罪と赦しについて考える作品でした。私にとって考えさせられるという意味では読むことができて良かった。けれど良い作品と容易に勧められるものじゃないとも強く思う。
犯され殺された被害者遺族側の描写をわざと省いたのかもしれないけど、心にしこりが残るのは被害者遺族側が置いてけぼりのように感じたからかも。
現実は理不尽だからこそフィクションではしんどくても因果応報、自業自得、罪を犯したものにちゃんとした罰が与えられ、被害を受けた者は何か報われて欲しいと願ってしまうところがある。
主人公は冤罪で15年、釈放されてからも世間からはレッテルが貼られ精神的苦痛を味わい人生を文字通り狂わされたけど、犯人は赦されたのが辛かった。どんな罪でも懺悔し赦されるという宗教的な考え方が大きいのかもしれないが、それでもこの罪に関しては特に、あの背景があったとはいえ元凶含め普通に過ごせていることが、こんなことした奴も赦され笑っているのかというやるせなさが残った。
被害者と遺族の思いが何より辛く重く苦しいものであると想像に容易いから、なんで笑っていられるんだと怒りが込み上げてしまった。被害者と遺族はこれから先、心から浮かばれることは無いのに。
「傷つけ合うこの世の中でどれだけ道を間違えずにいられるだろう」というようなセリフがあったと思うけど、本当にそうだなと思う。環境が環境なら倫理感や善悪の指針などはなんの意味も成さなくなる。それでもこの罪に於いては、何か正当化してるようにみえてしまって、誰かに赦されないで罰せられて欲しいなと私は思った。
少なくとも私は体力気力がある時に読んだ方が良い作品だと思いました。
下巻の童貞イケメンの話もっとみたいな可愛いなと思いました。
いいねしたユーザ4人
レビューをシェアしよう!