眠り屋羊は狼貴公子の閨で恋をする
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眠り屋羊は狼貴公子の閨で恋をする

村崎 樹/小禄

心優しい狼王子様と革新的でありたい羊坊や

ネタバレ
2024年1月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 多種多様な獣人が暮らす中世的世界観の物語。羊獣人のメロウは〈眠りの魔法使い〉として田舎から都会に出て眠り屋を開業しましたが、上手に魔法が使えず暇を持て余しています。そこへ執事を名乗る鹿獣人が訪ねて来て、不眠症の主人公への仕事を依頼します。心身のバランスを崩すと動物の姿に退化する獣返りを起こしかねない危険な状態だと聞き、また鹿という草食獣人の主人ならば草食獣人だろうと考えてメロウは依頼主の屋敷に赴きます。この世界では富裕で支配階級にある少数の肉食獣人と、魔法使いを産み出すものの貧しく圧倒的多数の草食獣人との間には越えられない大きな壁があるのでした。真っ白な花の咲き乱れる広大な屋敷の主人は、銀髪に金色の瞳を持つ美貌の狼獣人オリヴェルでした。初めて対面する肉食獣人かつ伯爵の令息という身分差もありメロウは魔法に失敗します。でもオリヴェルはメロウを責めること無く、怯えさせないように精一杯気を遣ってくれるのでした。優しい気質から父親や兄達から誹られ深く心傷ついたオリヴェルを、小さな弟妹達の面倒をみてきたお兄ちゃんメロウがなんとか力になろうと頑張ります。お互いの存在で成長する二人と、それを見守るオリヴェルの幼馴染•鹿獣人のイェリクと馬獣人のラーシュも好ましく、最後まで楽しく読める優しくハッピーなお話てした。
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