このレビューはネタバレを含みます▼
11の資料を個別に読んでいる間はとても楽しかったのですが、栗原さんの推理の章に入ってから内容が若干陳腐になってしまった感がありました。特に笠原家と松井家の事件が、闇深そうだったのに「奥さんは不倫の罪悪感から来る自〇」「旦那さんはカトリックの罪悪感から隠蔽工作」「間男も不倫しまくっといて罪悪感で入信」が顕著ですが、動機を「罪悪感」で片づけることが多くて、こんなんでいいのかと思ってしまいました。資料⑤の事故物件の章の1938年のやつ入力したの誰?とか2009年の錦糸町の一家心中は別に伏線とかじゃないんかいとか、資料②の津原家の惨殺事件も事件自体は特に関係ないんかいとか、私の理解力に不足があったら申し訳ないんですが、消化不良なところが目に付いてしまいました。
各資料にうっすらと繋がりが見えるところは「近畿地方のとある場所について」の影響があるのかなと思いましたが、あちらは超常現象で特に真実が解明しないのに対し、こちらは若干陳腐な推測がなされてしまうので、そこが不利なのかなと。
一方で笠原家の糸電話のトリックはそういうことか!と唸りました。見取り図トリックがお上手なのは健在ですね。雨穴さんの話の面白さは動画の演出や映像込みの物だと思いますので、本よりも動画を商品化されたほうが私は嬉しいです。