野ばらとプリテンダー
」のレビュー

野ばらとプリテンダー

カモバーガー

永遠と呼ばれるものはわりと泥臭い

ネタバレ
2024年1月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 友人、血縁者、パートナー、隣人…誰でもいい、どんな関係性でもいいですが、人が人と共に生きていく、というのは、これからずっと、や、生涯、という未来への条件がつくと、酷く難しいものになります。それはお互いがお互いに対して、同じように望み続け、同じように相手へ手を伸ばす努力が求められるからです。関係は、そういうものを全部含めた思いの天秤ですから、どちらかが望みすぎると、望まないと、壊れてしまう。
壊れてしまった天秤を、愛する母親の死という形で目の当たりにしてしまったルパードさん、本作の攻めさんが恋に落ちて、そのどうしようもない引力によって、新しい愛を知っていくのが、序盤のストーリーライン。彼は本当に母に愛されていたんだろうなと思います。誰かに愛されたことがないと、誰かを愛する力というのは湧いてこないものだと思うので。そして、受けであるノアさんも同じで、母に屈託なく愛されたからこそ、ルパード様に寄り添うことを諦めなかった。だからこそ二巻辛かったです。氷が溶けたならもう春が来てくれ。もうずっと春でいてくれ二人とも。
当たり前ですが人生は山あり谷あり、春夏秋冬喜怒哀楽。どうあっても何があっても手を取り合うための全てを諦めない覚悟が必要。思いだとか気持ちだとかは言うたらもう湧いて出てくるもんなので、それを乗せた秤を釣り合わせる行為は結構根性論なんですよね。そういうしぶとさがこの二人にはあります、初っ端から何となく分かります。絢爛な絵柄の野ばら根性って感じです。強さ逞しさが、貴方達の美しさです。
いいねしたユーザ4人
レビューをシェアしよう!