このレビューはネタバレを含みます▼
沙野先生の作品て、シリアスなのになんか笑えたりするんだけど、これもそんな作品。
議員秘書の椋一(受け)はいとこの彰良にいいように利用され、ひどい目にあっているのに本人にその自覚はなく、彰良に自分のすべてを捧げます!ってな感じで報われない恋に心とらわれなんて悲惨なんでしょうーな感じなのに、合間にはさみこまれるカエル爺さんプレーとか万年筆プレーがなんともいん靡というか滑稽で妙に笑えた。だから全体通してシリアスなのに、先生どこまで本気なんですか?と思ってしまって、椋一の境遇の気の毒さとか、彰良から受けた仕打ちとかをあまり深刻にとらえられなかった。
椋一が当初本気で彰良に心とらわれていて、徐々に四堂の方に傾いていくという展開は好みだった。私は健気でかわいそうな受けにあまり萌えられないのだが、椋一がいい塩梅で四堂と彰良の間でゆらめいてくれたおかげで、苦手な健気設定も問題なく読めた。あと四堂と椋一の濡れ場がほんとエロくてもえた。このエロさはなんなんだろう、とにかくエロい。
あそこの中に万年筆入れて文字を書くというのは、これはなんとも実験欲をそそられる描写。やってみたいけど、やってみようがないな、万年筆汚したくないしな、残念でならない。
それにしても彰良との行為はがっつりあるのに、井守のじじいとは最後の一線を超えさせなかったのは、やっぱり読者はそんなものみたくないでしょうっていう気遣いか?作者がそもそも見たくないのか?