愛だなんて言わないから
」のレビュー

愛だなんて言わないから

日暮くれ

燻った残り火が消えることはないんだなぁ。

ネタバレ
2024年1月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作者様がXにあげた試し読みをたまたま見つけて続きが気になり購入。表紙であれ…?もしかしてそっちの結末か…?と、自分が望んだ展開ではなさそうでちょっと恐る恐る読み始めました(笑)学生時代、向き合えなかったふたり。藤次はたしかに無知でバカで無神経だった。でもそんな所が八千代は大好きで救われてたと思うし、そこが藤次の良いところでもあると思う。本当に無神経で自分の気持ちに気付くの遅すぎでしょって思うけど、素直で鈍感でなんでも顔と態度に出ちゃう藤次が私も好きです。愛しいなと思う。大切だったはずなのに、特別だったはずなのに、お互い自分の気持ちにも相手の気持ちにも向き合えなかった。八千代は結婚し、藤次には聖人がいる。それでも会ってしまうと、一瞬で引き戻されてしまう。それって誰しもあることだと思う。誰にでも忘れられない人っていると思うんです。学生時代よりも少し大人になった今の自分だったらもっとうまくやれるんじゃないかって思うことってありません…?聖人がもっともっと嫌なやつだったらよかった、そしたらこんなに情緒が狂わずに八千代と藤次の幸せだけを願えたのに。おばあちゃんの葬式に来てくれる優しい聖人、八千代を牽制する聖人、大好きでした。でも八千代の想いを見るとやっぱり八千代と藤次の幸せを見守っていきたい気持ちになってしまう。3人それぞれに感情移入してしまう作品でした。続編が決定されてるとのことなのでこれからの展開に期待して☆5にしました。これから2人の日々が、向き合うことから始まって離れた月日を埋めるように1日1日を楽しく過ごして、いつかそれが永遠になったらいい。
補足としては八千代は離婚してたので不倫ではないし、現在⇔過去がちょっと分かりづらいとレビューもありますがさほど気にならずです。むしろそれが切なさをより掻き立ててよかった。
いいねしたユーザ18人
レビューをシェアしよう!