朝が来たら、ふたりは【単行本版(シーモア限定描き下ろし付き)】
81
うめ
さん
(女性/40代)
総レビュー数:1052件
同性を愛すること、ガチで感じるものがある
ネタバレ
このレビューはネタバレを含みます▼
昨年末のイベントで、モロモロお値打ちに読んだ作品の中で、一番良かったのがこの作品です。レビュー数は多くありませんが、評価が高いのはもっともだなと思います。
ゲイを隠している先輩とオープンにしている後輩、職場での接点なんてほとんど無いような二人だったのに、必然的に接点が出来てしまうのですね。藤井は必死で隠して来たのに、男とのKiss写真を、甲斐に撮られて脅されます。他言無用の引き換えに、一度きりのsex。一度きりのはずだったのに、お互いの本質に触れて行くと、それは当たり前の関係へ。どちらも牽制気味に身体を重ねていたのが、次第に身体だけでなく心もついていってしまうのは自然ですよね。同じ会社で、ゲイを隠す藤井と公言する甲斐。どちらが良いとか、正しいとか全く無くて。藤井と甲斐にも、それぞれそこに至る理由がある。どちらの気持ちにも共感できます。相入れない真逆の選択をしていても、藤井も甲斐も、優しくて真面目な人柄が根底にあるので、どちらにも気持ちが添う。藤井も甲斐もホント応援したいです。ここの世界は、割と現実に近いのかなぁと思って読んでました。悪意や善意、無理解や理解が、しっかりと二人の周囲にある。下賤下劣な輩や、アップデート出来ない人が普通の顔をして会社にいて、またフラットな考え方の人も普通にいる。ここでは、二人の完全なる味方はよく出来た女子達だったけど。なので、藤井と甲斐が決断した後の、生活を見てみたかったなぁと思います。悪意の声も理解の声もちらっとは見えたけど、ファンタジーでも、生きづらくないといいな、強くいてほしいなと思います。藤井と甲斐、好きと言うより、全力応援です。
すっきりとした絵で、裸体もエチも好みでした。エチも思ったよりしっかりあるなぁという感想。受けの甲斐の方が絶倫?なのも、面白いです。特に歳の差と言うことはなく、藤井がひ弱って事でも無いんですが…藤井がんばれ。ただ、惜しいなと思ったのは、キャラの描き分け。キャラがゴッチャになって混乱してしまうことがありました。髪の分け目や黒子ではなく、もっとガッツリ見分けやすくしていただけると、ありがたいなと思いました。
それでもやっぱり、最近読んだ中では、上位で気に入っている大好きな作品で、何度も読んでます。初コミックスおめでとうございました。新刊の時に読まなかったのを、とっても後悔してます。
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