追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。 ~俺は武器だけじゃなく、あらゆるものに『強化ポイント』を付与できるし、俺の意思でいつでも効果を解除できるけど、残った人たち大丈夫?~
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追放されたチート付与魔術師は気ままなセカンドライフを謳歌する。 ~俺は武器だけじゃなく、あらゆるものに『強化ポイント』を付与できるし、俺の意思でいつでも効果を解除できるけど、残った人たち大丈夫?~

業務用餅/六志麻あさ/kisui

ついつい読みたくなる

ネタバレ
2024年1月14日
このレビューはネタバレを含みます▼ 頭がおかしくなる。読んでると頭痛くなる。自分如き脳みそでは処理できない。理解しようとして、しかし処理不能。そんなギャグ漫画を読もうと思ったって、探すのが難しい。
そういう漫画はもちろん他にもある。あるけど、この漫画の魅力は、言語化しづらい日常の現象の解像度が高く、かつそれを文章ではなく漫画で表現しているのも読めるところ。
人付き合いの中で、感じたことのある、何となく噛み合わない居心地の悪さ。普段だったら馬鹿笑いして終わりなのに。悪ふざけが悪い意味で連鎖しちゃうやつ。でもって、受け取る側の自分に原因があると思って解消しようとして空回りして一層悪化するやつ。いつもの悪ふざけが受け取る相手の調子が悪いと、悪意になってしまうあの現象。5巻で描かれたソレに感嘆した。あっさり解決して読んでてホッとしたよ…。居心地の悪さに覚えがあり過ぎて心臓に悪い…。
自分如き脳みそでは理解不能なギャグはちなみに最高にクセになる。意味不明なのが面白い。
意味不明ギャグがインパクト強くて語りたくなるけど、この漫画の真髄はストーリー。
原作も一応目を通したことがある。正道王道ど真ん中の隙のないテンプレートだ。テンプレートがあるからこそ邪道は生きる、にしても。原作が王道の冒険しているのに対し、本作はどこまでも対人間。人間社会の中の、人間同士のしがらみの、人間の悪辣さと、悪意なき善意の悪意さと、常に纏う四面楚歌の空気感。主人公の「悪い人じゃないんだけどね…」が一生枕詞につきそうな厄介さ。主人公補正で好感度悪くないけど、冷静にお荷物なキャラ作りも凄い。原作とは違って、追放されても仕方ない説得力を持たせたのが面白い。暗殺ママと”半グレ”たちの不愉快さも凄い。1番状況を把握してそうなギルドマスターが読者の心の支えだけど、有能過ぎて退場する気もする…。だって今ギルドマスターいなくなったら主人公たち詰むよ?詰むけど、作者さんならそういうのを描くのも上手そう。ギャグがないとしんどい程に本筋のストーリーはシビア。しかし閉塞感が好きなもので閉塞感のある展開もちょっと楽しみ…。
薄ら笑いでずっとニヤニヤしたくなるギャグもハマったし、作者さんのイケズな人間描写にもハマりました。
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