百年結晶目録
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百年結晶目録

青井秋

百年かけて結晶化する二人の旅の記録

ネタバレ
2024年1月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ 鉱物を研究するベントは、閉山した鉱山で鉱石を食べる不思議な少年イーリスと出逢います。研究用のサンプルを採取したいベントは、鉱床の場所が匂いでわかるというイーリスとに一緒に行動しようと持ちかけます。ベントは籍を持たないイーリスの保証人になって市民籍を取得し、二人は旅を始めます。寿命が人より長いイーリスは少年のように見えますが25歳になっており、様々な虹彩を映し出すその瞳と同じくどこまでも謎めいているのでした。鉱物から始まって地質や植物にも博識なベントは鉱物を愛しており、そのロマンを聞いてイーリスは自分もそんな風にどうしようもなく好きなものがあればいいな、と考えるようになります。やがてイーリスが一族のたった一人の生き残りで、他の皆は人狩りに遭ったことがわかり、その魔手がイーリスに襲いかかります。静かに進むストーリーに隅々まで繊細な絵柄もまたしんとしていて、どこまでも美しいです。もちろんエロは無く、色んな意味で鉱物のようなお話でした。
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