海がきこえる
」のレビュー

海がきこえる

氷室冴子

読後感が良い

ネタバレ
2024年1月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ 新装版が出たので電子で新たに購入。親の都合で東京から高知の高校に転校してきた里伽子と、里伽子に振り回される主人公の拓。親友の松野との関係や卒業後の大学生活など、何気ない日々が実に生き生きと描かれています。拓の回想形式で物語は進みますが、風景の描写、登場人物の機微などがとても丁寧に書かれています。特に、拓が夏休みの帰省時に自宅の玄関先から見た土佐湾の描写は、訪れたことのない土地なのにその風景がありありと目に浮かびました。淡い文章に挿絵がさらに作品の世界観を作っていて、過去に何度も読んでいるのに今回も引き込まれました。土佐弁の温かさや拓の優しさに触れ、誰かに優しくしたくなるような読後感です。
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