GOOD BOY中毒【単行本】
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GOOD BOY中毒【単行本】

ともち

3巻まで読了

ネタバレ
2024年1月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 1巻試し読みしたら2巻読まないなんて絶対無理。DomSubユニバースの作品でハマることは今まで無かったのですが、これは心の柔らかいところをサクッと抉ってくる感じで、読んでて辛いところもありますが、どうにも読まずにはいられませんでした。この作品はDomSub特有の欲求と、ノーマルでも感じる欲求が上手い具合に絡んでいて、他人事のように思っていたDomSubユニバースの世界観が、より身近に感じられました。

主人公の瑠衣(Sub)は、恋人はおろか友人すら作らず27年間生きてきたという強者。そんなコミュニケーション能力は赤ちゃんレベルの瑠衣が、マッチングアプリで出会った律(Dom)と恋に落ちます。そんなのどうなっちゃうのかなんて先を読まずとも想像できるけど、感情に振り回されて、まともな判断もできないまま、瑠衣のメンタルはグッチャグチャのズタボロになります。その辺りの描き方が、ともち先生は素晴らしいんですよね~。モノローグがこれでもかという程コマの中に詰め込まれていて、嫌でも瑠衣に感情移入できるので、察しきれずにモヤモヤすることなく、とことん物語に没入できました。瑠衣のヤバいくらいに乱れる情緒を一緒になって味わうのでしんどいけれど、そこが癖になるというか・・・。人によっては嫌悪感を感じるような思い切った描き方をされるので、好き嫌いは分かれるかもしれませんが、他では味わえないような読書体験ができる気がします。

2巻までは瑠衣が中心になって話が進みますが、3巻は律の過去のトラウマに焦点を当て、律自身を掘り下げていて、2巻までとは違う面白さがありました。瑠衣が律の母親とやり合う場面は見物で、似た者同士だからこそできる喧嘩は、見ている分には面白かったです。Domの母親になろうとするSubなんて、瑠衣独特の愛し方がとても興味深かったです。マザコンを拗らせちゃってた律ですが、親友の大雅(switch)は早々に見抜いてて、凄い洞察力だなぁと思います。彼の助力無くして、瑠衣と律が上手く行くことはなかっただろうなぁ。

シリアスになりすぎないようにするためか、ちょいちょい笑いが投入されていて、その笑いが割と本気で笑わせてくるんですよね。シリアスな場面との落差が激しすぎて面食らうこともありましたが、その落差すら魅力に感じるくらい素晴らしい作品でした。
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