瓜を破る
」のレビュー

瓜を破る

板倉梓

みんなハッピーエンドになって笑ってほしい

ネタバレ
2024年1月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ 中心になる主人公は32歳処女の女性ですが、主人公の会社を中心に登場人物それぞれの視点からの書き分け、それぞれの悩みと絡めて描かれていて、続き、続き、と買って一気読みしました。人のことを羨ましいと思ったり、そんな自分のことが浅ましく思えてしまったり、よく知りもしない人のことを誤解して勝手にキャラづけして呆れてみたり。そんな人間らしい心の動きが随所に散りばめられていて、時系列も心情的背景もちゃんとしていて、引き込まれます。将棋しかしてこなかった鍵谷さんの部屋の様子や、物が多いケイタの部屋の書き分けも深い。作者さんは人生何周目なんだろう。それぞれの立場からでないとわからないような悩みや葛藤、モヤモヤが丁寧に描き分けられていて、キャラクターに気持ちが引っ張られて、グッときたり気がついたら涙が出ているような場面が沢山ありました。私もこんなにナチュラルに涙って出てくることあるんだ…と衝撃でした。
可愛らしい絵柄と同級生との最初のほうの話から、もっと短絡的なエロかと思っていたのですが、良い方に裏切られました。(正直、処女がテーマになっていることで、初体験したら意外と呆気なくてそのあとは色んな人と…みたいな感じの話かと思っていたので…途中まで無料で試し読みできた事は幸運でした)
濡れ場は、汁多めとか音で誤魔化したりという表現方法ではなく、気持ちを中心に描かれていて、女性も読みやすいと思います。いろんな視点から複合的に見れることで心情に深みがでて面白い。目に見えるものより男としての器の大きさが、女性にとっては最終的には大事な気がします。相手を好きかどうかが最終的に大事で、誰かと比べたりして悩む必要もない。目の前の相手に真摯に向き合っていればすれ違いもスパイスでしかない。自分を卑下することなく、幸せになってほしい。
まだまだ連載中でどう転ぶかわからないけれど、読んでいるうちに作者さんはハッピーエンドにしてくれると謎の信頼感が生まれたので、すれ違いや悲しい気持ちになっちゃう出来事も、今だけ、今だけ、と自分に言い聞かせながら読み進められます。ヒステリックだったり感じ悪い人もみんなが幸せになるのは微妙みたいな意見もあったけど、誰でもいつからでも変われるし、みんなが幸せになる権利があると思う。

主要な男性キャラは割とみんな素直で好感持てるのもとても良かったです。続刊待ってます。文字数足りませn…
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