どうせ捨てられるのなら、最後に好きにさせていただきます
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どうせ捨てられるのなら、最後に好きにさせていただきます

セレン/碧貴子/すらだまみ

アニエスも悪い…って論調だけどそうかな?

ネタバレ
2024年2月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 3巻まで読んで。二人がくっつくまでのあらすじは一話を読んだ時に感じたそうなんだろうな?というのがおおむね当たります。
かといって王道展開というわけではなく、体裁はそうでもキャラクターの内情が結構予想外でした。リュシーの王太子としての生育環境、プライドが予想以上に根深い。権謀術数渦巻く世界で大人達に駒扱いされることを憎々しく思いつつ反発しながら成長したら、こうなるのは仕方がない。という理にかなってはいるのですが…。
政敵(父王を目の敵にしている男)の娘が婚約者になって、結果恋をしてしまった。それが認められないプライドの高さと、アニエスの恋慕も政略結婚の付属物にしか思えなくなって、それでもアニエスへの恋は止められない。
どうしても素直になれない。地位に恋した彼女への恨みもある。愛憎入り混じる感じが人物に分厚さを出してて、ここを掘り下げてくる作品あんまりなかったなと思いました。
このようにリュシーの方にも事情や背景はあるんだとたっぷり語られます。いやでも待ってほしい。そこで「そんなリュシーに気づけなかった/リュシーを信じきれないアニエスにも落ち度はあるよね?」って流れになるのはなんで!?!?になりました。なってます。なんで!?
アニエスの視点から政治的なものを取っ払ったらものすごく単純で「子供の頃から概ね冷たい婚約者が他の女を連れてきて婚約破棄を申し出ました。見たこともない優しい顔を「彼女」へ向けます。憎い嫌い恨んでるは指摘しても否定されないし一部は直接言われています。でも本当は子供の頃から私のこと好きで、事情があったんだって。誤解が解けてからは確かに好かれてるとは思うけど、信じ始めたけど、でも「彼女」へ向けていた表情は見せてくれません。「彼女」にはあんなに容易く向けられたのに…本当に「彼女」には何の感情もなかったの…?」ですよね。これで「信じきれないアニエスも悪いよね」になる!?なってる!!いやそうかな!?!?
絵もキレイで大好きだしストーリーもアニエス周りのキャラも大体好きなんですが、もつれ/こじれの落としどころが「でもアニエスも悪いよね」になるのが唯一もやもやするところです。もはやラストはアニエスにめちゃくちゃ幸せになってほしい。ので★5で追いかけてます。いや本当めちゃくちゃ報われてほしい。
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