わが美しきヴィクター【単行本版(電子限定描き下ろし付)】
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わが美しきヴィクター【単行本版(電子限定描き下ろし付)】

鹿島こたる

恍惚の一冊✨ 官能・美・主従モノ

2024年2月6日
地下闘技場の最下層、名も無き泥人形として息をするだけの男の前に美麗な紳士が現れた。神々しい程の足元に手を伸ばすも容赦なく踏み潰し見下ろす姿は無慈悲な天上人と地を這う下界の民の如し、宗教画にも通じる美しさ。嗚呼 ここにブラッド様降臨なのです✨ 華麗なる一族の尊大な性悪ビッ○×美しき褐色のワンコによる絶対的主従BLを目眩くエロスと耽美な世界で存分に魅せてくれます。野蛮な獣を理性のある人間に教育出来るかとの賭けで男を買い躾けていくお話。共に過ごす内に惹かれ合い、いつの間にか結ばれて… 的な奥ゆかしさは微塵も無く、初めにガツンと極上の蜜を喰らわせて魅了し、傍に置いて欲しければ教養を身に付けろ!とアメと鞭で懐柔して理想のタチ兼従者に仕込むイケナイご主人様。対して男はヴィクターと名を授けられ、ただひたすらに主人に心酔し身を捧げ盲従し、動物的嗅覚でご主人様のイイトコロを嗅ぎ付けて獣の如く鬼責めしちゃうのです😍 煽り煽られのエッロい2人。傲慢で気位の高い主人が嬌声を上げる様も、従者が時に冷静に時に欲情のままに喰らう様も堪りません!生まれも性格も対極的な2人が互いに唯一無二の存在となり、狂おしい程の執着と絆で結ばれる濃厚な主従モノ。遺産を巡る血族の争いを巧く絡め、どこか往年のドラマチックさも漂わせる展開で、それがまた美しい絵と合っていて良きなのです。ラストは この一言によって物語が完成されたと言う程に、これ以上無い美しい幕の下ろし方で構図も完璧。…故に敢えて続編は望まないのですが(でも出たら読みます!)、この耽美的な世界観をこれで終わらせるのはとても忍びなくて… (涙) 個人的におじい様が凄く気になっていて、何故に蘭を好んだのか、何故に享楽に耽るブラッドを眩しくも妬ましく思ったのか。もしかしたら諦めざるを得なかった若かりし日の悲恋が… なんて勝手な妄想遊びをしております。映画『ゴッドファーザー』シリーズの様に世代を繋ぐロックウェル家の物語を3部作で描いて頂けないかな~と、密かに願っているのです。どうか声が届きます様に!本作はまごうことなき耽美な世界。BLには夢を見たい派なので、舞台の一コマの様なポージングや台詞、衣装や背景の絢爛さに胸が踊りました。そして濃厚な官能の世界を堪能出来て眼福至福の境地。こたる先生の高い美意識と(ちょっと変態的な)官能美の結晶が融合した極上の一冊、その仕上がりは溜め息モノです💕
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