私立探偵・麻生龍太郎
」のレビュー

私立探偵・麻生龍太郎

柴田よしき

短編ミステリー集、文句なく面白かったです

ネタバレ
2024年2月9日
このレビューはネタバレを含みます▼ 「聖なる黒夜」を読み「RIKO」シリーズに行き、「所轄刑事・麻生龍太郎」からここに来ました。探偵の使われ方というのは色々あり、興味深かったです。失くし物探しの依頼が実は人と人を繋げる為で、その真の目的はまた別にあるとか。「CARRY ON」が私は一番好きです。何も関係無さそうな事が次々と起こり、それが何故そんなに都合よく繋がるの?って思っていたら、それにはきちんと判り易い理由がありました。そして最後まで判らないのは常に人の心でしょうか。この作品の中の龍と練、暗雲漂う中でですが、それでもこれが彼らの一番穏やかな時ですね。これがBLだったら2人は田村が言うように外国に行き、末長く幸せに暮らします的な示唆で終わるのでしょう。でも龍は普通に小市民的な思想の持ち主でついでに頑固、たとえ愛する人の為であっても全てを捨てるようなことはしないです。練は龍が覚悟を決めたと分かれば一瞬足りとも躊躇なんてしないんだろうと思うと、やはり切ないですね。練の言った言葉、アレキサンドライトは変わりたくて色を変えている訳ではない、当てられる光の性質で否応なしに色が変わってしまう、って彼の歩まされた人生を考えると心が痛くなります。
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