雨傘で凌げないほどの恋
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雨傘で凌げないほどの恋

ARUKU

言葉と活字が持つ力

2024年2月24日
この方のような漫画を、それもBLを描いてらっしゃる作家様はこの方以外に今存在するのだろうか。存在するならどうか教えて欲しい。この文藝小説のような言葉と活字が生命の灯火を持つような、その輝きを内包するかのような作画は。近年技能が競われるような作画による躍動感、スピード感のある画を宛てられたなら返って雑音になってしまうような気さえする。
作品舞台は現代だけれど、近現代文学の文藝小説の活字を追っているかのような内省表現と、それをより印象付けるガラス玉のような美しい登場人物の瞳は、言葉の狭間に添えられた宝石の破片のように輝く。この物語の、展開自体はそんなに度肝を抜くようなドラマではないと思うんだけど、言葉、台詞、表現方法でこんなにめろめろになって普段感想なんて滅多に書かないのに感想を投稿してしまうOTAKUを生成してしまうほど、刺さる。
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