風と木の詩
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風と木の詩

竹宮惠子

若いということ

ネタバレ
2024年2月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ まさかこんな終わり方をするなんて…。一気に読み終えてから全然立ち直れません。でも、そうなるしかなかったとも思います。学園の中がオーギュの息がかかって絶望的に逃げ場がなく、奇跡のようにそこから逃げ出したら、いかに自分たちがそれまで守られていたかにきづいてしまう。そして、セルジュの母とは異なり、ジルベールには贅沢な環境でしか暮らせない。2人の気持ちがどんどんすれ違っていくのが本当に苦しかった。ジルベールを失った後、セルジュはどんなに自分を責めただろう。それでも、ジルベールを自分の中に取り込み、生きていけるセルジュの健やかさに、ふたりがそれぞれの親から与えられたものの違いを感じました。若いということが本当に未熟であり非力であること、それでもその時期を真剣に生きることがそのまま人生の価値であるような、そんなことをひりひりと感じた傑作でした。
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