52ヘルツの共振【電子限定描き下ろし付き】
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52ヘルツの共振【電子限定描き下ろし付き】

早寝電灯

理想になれなくて良かった

ネタバレ
2024年3月3日
このレビューはネタバレを含みます▼ 高校時代にお互いに気になる存在だったものの当時は深く関わりあうことなく卒業。年を経て旅行代理店の営業と高校教師として再会を果たしパートナーになるまでのお話です。言い表せないのがもどかしい程尊さがつまった作品でした。攻めも受けも自身の性別(オメガバース)のままならない部分にコンプレックスを感じながら高校生活を過ごしていて、お互いの言葉で救われた経験が惹かれ合うきっかけになっています。
攻めは修学旅行で距離を縮めたいと思っていたけれど、受けは当時まだヒートが来たことがなかったため未知のヒートを恐れて修学旅行の参加を見送っていました。大人になった2人が生徒の修学旅行の打ち合わせを通して再会し、「受けが修学旅行に参加できていたら」を少しずつ叶えていく過程が丁寧に描かれています。

大らかで人に好かれやすい一途な攻め×ストイックで気高い静謐な受け。受けがとてつもなくかわいい。体格がしっかりしていて精悍な顔つきなのに攻めと並ぶとかわいすぎて頭が激しくバグります。
学生時代の忘れ物を一つ一つ拾っていってお互いの中にある淀みが去ったとき、自然と番になるんでしょう。白根くん(受け)にとって52ヘルツのくじらは理想だったけれど、52ヘルツのくじらが白根くんのことを知れたならきっとものすごく羨ましがるんじゃないかな。大切な思いや震えを共有できるたった1人の相手を見つけることができたのは何にも変え難い幸せでしょう。番になったときのエピソードをいつか読みたいです。本当に最高の作品でした。
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