このレビューはネタバレを含みます▼
すべてが良かった。二人はもちろん周りの友達も素敵だった。まず何よりも咲の人柄が100点満点でいい人の塊で、言葉一つ一つに思いやりの温かさを感じる。三澄も自分より相手を思える人で、相手に嫌な思いをさせないように気遣うの、そこにはギュッとくるものもあるけどやっぱり素敵だと思う。あの夜の事は熱と昂りと想いが溢れ出て、あ。という言葉のとおり、自分でも思いがけなかったんだよね。きっと自分の中でも許せてなかったから一層気をつけてたんだよね、それまではワンコのようにグイグイ引っ付いて質問攻めしてルンルンしてたのに、哀しそうに申し訳なさそうに都度確認するからギュッとなった。どんな事故だったのか気になったりするけどこの物語の主軸はそこだけじゃないからこれくらいでいいと思えるし取り上げる塩梅も上手かった。ごめんという言葉が出てきたときは、咲にガッカリしそうな自分がいて、なんだ、そうか、君も常識や何やらに囚われる側の人か、と勝手にそんなん咲じゃないと落ち込んでしまったけど、きっと三澄も返ってくる言葉は想定してたんだろうな、そこから続けて思ったことを思ったまま感じたままに伝えてくれる咲がいて、驚いたように顔を上げる三澄もまた良かった。ああやっぱり君は咲なんだな、咲として欲しい言葉を読者に与えてくれた。最初から最後まで咲というキャラクターがとても魅力的で、みんな咲を好きになる、私もその一人になった。これはまさに恋の話で、恋愛対象が男か女かではなくて、相手が咲だったから、三澄だったから、この人だから恋に落ちたんだなと思える話で良かった。