声はして涙は見えぬ濡れ烏
」のレビュー

声はして涙は見えぬ濡れ烏

ウノハナ

ウノハナ作品の中では淡白なラブストーリー

2024年3月20日
スピン元の『ハイブリッド・スターダスト』はサンプルを何度見ても冒頭のオッサンの泣き顔と裸で萎えてしまい購入には至らず… 素敵な表紙とタイトルの本作のみの購入です。同じ大学に通う会沢と凛はお隣さん同士。縁側で一人雨に打たれて佇む凛をアパートの部屋から見掛けて一目惚れした会沢。何とか近付こうと話し掛けるもツレない態度をされてしまうが、持ち前の人懐こさと笑顔で少しずつ凛の懐に入って行き 何時しか身体の関係を持つ仲に。初めは凛⇒会沢への気持ちは無いけれど、この気難しい凛が誰でも受け入れる筈はなく、身体だけ求める筈もなく、恋人未満 セ○レ以上の関係性。ウノハナ作品は受け×攻めのどちらかが仏頂面なんですが、凛の顔はそれを超えた引く程の睨み顔… (歴代No.1かも?) 凛を取り巻く複雑な背景がそんな表情と人を寄せ付けない態度を取らせている様だけど、会沢と過ごす内に固く強張った心と顔つきが少しずつ和らいでいって、胸の内を晒せる程に会沢の存在が大きくなっているのに… 捨て切れないものはあるし、背負わなくてはいけないものもある。庭で無心に竹刀を振る凛の姿が思い起こされて、古狸たちが潜む伏魔殿に独りで乗り込む険しい道を選んだのも名前の通り凛ならば… と、納得させられるのです。そんな凛を無闇に追わず、ちゃんとスキルを身に付けて正面切って会いに行く会沢も筋の通ったいい男だなぁと。会沢の肩に顔を埋める凛を見ると、今迄どれだけの想いを押し殺して来たんだろう… と切なくなると同時に、物凄く安堵する気持ちが伝わっても来る。二度と離れる事が無いように、と願うCPでした😊 サラリと読めてしまって余り印象に残らないのは淡々としたストーリーだからと言うのもあるし、あやふやな関係性だったので熱量に欠けるのと、まだ深い所での関係性がきちんと繋がっていない様に見えるから。⇒ 描き下ろしで少し補完されていますが。あとは顔を含めてツン過ぎる凛と、優しいのは良いけれどクセが無さ過ぎる会沢の、人物としての魅力に少々欠ける所にあるのかなと個人的に思いました。あと 欲張りな者でラストの雄みが増した会沢とのエチをもっと見たかったな~、京都をもっと感じたかったな~と思いました。2014年作品、本編+描き下ろし9P+あとがき1P⇒総196P、修正はシャカシャカです。総評3.5で☆4つ。
いいねしたユーザ1人
レビューをシェアしよう!