今度は絶対に邪魔しませんっ!
」のレビュー

今度は絶対に邪魔しませんっ!

はるかわ陽/空谷玲奈

解せない。。

ネタバレ
2024年3月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 5巻を読み終え、主人公が王子からの婚約の申し出を受けようとしている流れにモヤモヤが止まらない。

回帰前、主人公は自分の承認欲求を満たすため、好きでもない王子に鬱陶しがられても媚を売り続けたり、挙句の果てには王子が愛した義妹を憎み自らの手で殺めようとまでして投獄された経緯などがある。

そうまでしたのだから、当時は狂いそうな程ドス黒い感情が彼女の心に渦巻いたはずた。回帰しても過去の場面がフラッシュバックしたり、何かしら心に残りそうなものだ。
回帰後はもう2度と関わりたくない、関わってはいけない、などと思っても不思議はない位には。

実際彼女も、回帰後すぐに修道院への道を選ぼうとした。
しかし、以前とは展開が変わったからと『王子との婚約、本当にメリットしかないのでは』と、王子からの申し出に前のめり気味になり、回帰前に起こった事や、自分がしでかした事をすっかり忘れたかのような思考にコロッと変化してしまった。
本来なら王子の相手は義妹だった所に、回帰後は自分がそのポジションに収まろうとしている。
その思考は血迷っているように思えた。
悪女設定とか、復讐を望むキャラなら分かるし面白そうだけど。

回帰前に自分がした行いが誰にも知られずに都合よく変えられたからといって、この主人公のキャラでこれは無いのでは。

この展開にするのなら、そうではなく、王家からの申し出は断れないからという筋書きにした方がまだ自然な流れだったように思う。

けれど、不遇な生によって生まれたであろう常に自分本位な彼女の性格が、回帰前に愚かな判断や行動を起こさせ、回帰後にも改善されていない所なのかもしれない。
それならば、幼馴染のユランの気持ちに気付けなかったり、様々な場面での心遣いを割とサラッと流す鈍感さも多少納得がいく。

でも。主人公のこの思考の変化のせいで、一気に萎えた。

元々、展開や思考に疑問を持つことが多かったストーリーやキャラであったが、これまでは主人公視点で読み進めれば盲目的に楽しむことができた。
けれど、5巻を読んだ後に改めて1巻から読み直すと、おかしな所が多すぎて読む気持ちが冷めてしまった。

どんな展開になろうとも、好感を持てなくなったこの主人公の行く末を見届けたいとはもう思えない。
無駄にモヤモヤし続けているので、早く忘れてしまいたい。
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