薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~
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薬屋のひとりごと~猫猫の後宮謎解き手帳~

日向夏/倉田三ノ路/しのとうこ

倉田先生版のよさ

ネタバレ
2024年3月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ もう一方のガンガン版も読んだ上でのレビューです。人気エピソードのネタバレを記載してますのでご注意ください。

比較的淡々としている原作の空気感はそのままに、倉田先生版は見せ所を加味して再構成する手腕に長けていると感じました。(原作改変については賛否ありますが、個人的には原作の良さを損なわず媒体に適した改変なら賛成派です)
見せ方が上手いと特に感じたのは7巻、羅漢と猫猫の関係や過去が明かされる将棋勝負の話です。
そもそも原作では早い段階で壬氏が羅漢の正体に気付き読者にも明かされますが、こちらの漫画では正体不明のまま勝負まで引っ張ります。そして勝負の進行と羅漢の過去回想を絡めて話は進み、勝敗の結果と同時に猫猫自身から父親だとネタバラシ。爽快でした。
その後はある妓女の身請けへと繋がるわけですが…謎を引っ張りつつ過去と現在を織り交ぜて話に引き込み、羅漢の印象を180度変え、物語を結実させる一連の構成が本当にお上手だと思いました。泣きました。
ついでに羅漢が胡散臭い人物のままでいたことで、羅漢に猫猫を奪われる!と思っている壬氏の焦りっぷりにも説得力が増してます。

全体的にテンポよく話が進むので端折られている点もあり、そこで物足りなさを感じる方もいるかもしれません。しかし要点は押さえており、漫画としての魅せ方が練られていて複雑な話を小気味よくまとめていると感じます。コミカライズは原作チェックも入るはずなので倉田先生の解釈・改変は原作サイドも問題なしとみているのではと。(そう思いたい…)
難を言うなら、絵柄がシンプルなので時々キャラの見分けがつかないことでしょうか。
一方のガンガン版は原作通りに漫画に落とし込んでる印象です。モノローグがやや説明過多な分、心情や細かい情報が拾いやすいです。度々挟まれる小ネタやリアクションは楽しい反面、話の腰を折っていると感じるシーンもあります。絵柄は華やかで可愛らしく、この辺で好みが分かれるかなと。

以上サンデー版のここが良いと語りたいだけのレビューになりましたが、最後に最新18巻について………。ポニテ壬氏様サイコーです!!!!!倉田先生ありがとう!!!!!!!
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