穢れのない人
」のレビュー

穢れのない人

虫飼夏子

後日譚まで読んでねと、

ネタバレ
2024年4月8日
このレビューはネタバレを含みます▼ 表紙を見て、うぅぅ…と対照的だなと。そこに惹かれて購入した作品(単行本、上下巻。)
本編を読んだ後は、これはレビューできないなと思ってそっと閉じました。その後この後日譚を知り読んでみたら、あぁ深いなと本編を読んだ印象ががらっと変わった後日談でした。

ネタバレになりますが、あの男の子の母親が、笑いかけられるぐらいは幸せな毎日を過ごされていたんですね…の言葉が刺さって、本編の印象がひっくり返りました。

神父、楽園、穢れのない、そして罪…と言った言葉からどこか都合良くキリスト教精神をBLに解釈してないかな?と思ってしまった本編でしたが、この後日談でやっと主人公 秋鷹の生き方が理解できました。

「神の前では皆平等」というキリストの言葉は、秋鷹にとってきっと自身の冤罪から犯罪者という人生、その罪を作った加害者 恭介の性的虐○という被害者としての人生、加害者の恭介の父親、それを知っていながら美しい家庭を信じていた彼の母親、被害者の男の子、その子の母親…モブたちの人生皆が、神の前では平等、同じだから、あなたは私であり、私はあなたで皆神から愛されていると。2人の関係性もまた、そんな愛だったのかな?と思いました。

あの後の秋鷹を想像しました。恭介に何て言ったのかなと。やっぱり愛してる、だったのかな?と。(救急車を呼びながら愛してると抱きしめて、その言葉を何度も繰り返したのかなと…。光のコマは、祝福にも繋がる神々しいコマでした。)玄関に飾られた2人の写真からそんな風に思いました。

幸せなその後の後日談…という印象が多いなか、久しぶりにこんな後日談を読んで、良い…とじーんとしました。良かったです。
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