このレビューはネタバレを含みます▼
ごく普通の母親がだんだん狂っていくお話です。
低体重児として産まれ、身体が小さく気も弱い息子に対して、せめて「普通」であって欲しいと奔走する様子…
サッカーのような集団スポーツでなく空手を習わせる事や、個性に合った私立中を目指して中学受験に手を出すのも「気弱系男子を持つ母のあるある」として共感しかありませんでした。
一見すると子供に選択させるように見せかけて、実はかなり強引に親の思う方に誘導するという「レール敷き」の手段の描写もリアルです。
これを読んでドキっとしない母親はほぼ皆無ではないでしょうか。
内容のリアルさも勿論ですが、シンプルな可愛い絵柄にしてすごい画力。構図、意味ありげに配置された小物、心理的な恐怖感を描写する際にはホラー漫画かと見紛う程の薄気味悪い絵(褒めてます)を効果的に使い、作者の抜群の漫画センスが見られます。
物語の最初の方に小さくあった「違和感」が、終盤でこういう事だったのか!と回収される構成力も見事です。
母親として身につまされる内容であるため、いわゆる「大好きな漫画」ではないのですが、自戒もこめて本当に面白かった。
すごい漫画家さんだと思います。